あんしんマイナンバー

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 味わい深い霞ヶ関文学に感動しました。結構いい出来だと思います。

これら3つのポイントの使い方や仕組みを理解すれば、少なくとも普通に生活している一般市民からすると「何が変わるの?」「何が心配なの?」と、不安が先行する今の風潮が、逆に不思議に思えることだろう。

 「普通の一般市民」は疑問など持たないのです!疑問を持つ人は「普通の一般市民」ではないのです!あなたには何かやましいことでもあるのかな?と印象づける基本テクニック。

マイナンバーの12桁の番号だけを不正に入手しても、なりすますことができない制度設計がされているわけだ。

 へぇ~そうだったんだ。ならばあんしんだね!

逆に、表面は顔写真付きで本人確認ができ、裏面には12桁のマイナンバーが書かれた個人番号カードを紛失すると面倒なことになる。

 具体的にどのように「面倒なこと」になるのかが一切書かれていないのですが一体何故なんでしょう。マイナンバー制度には何かやましいことがあるのかな?

不正に取得しただけで個人情報保護法よりも重い、マイナンバー法の罰則が待ち受けている。悪意ある第三者からすると、ますます「盗む」インセンティブは働かない。

 裁判員制度の公式FAQで「裁判員に危害を加えるようなことがあれば重罰が科せられますのでご安心ください」という旨の回答があった(現在は削除済み)ことを思い出しました。
 それはそれとして、現在の日本国では殺人には思い罰則が待ち受けています。「殺す」インセンティブは働きませんね!

今回のように厳格な本人確認と重い罰則の規定は、過去の経緯において示された国民の感情に応えるために必要になった措置と言えよう。

 そうです!「国民の感情」のせいなんです!私たちのせいではありません!
 因みに、内閣官房のサイトにあるマイナンバーFAQでは

Q5-8 自分のマイナンバー(個人番号)を取り扱う際に気を付けることは何ですか?

A5-8 マイナンバーは、生涯にわたって利用する番号なので、忘失したり、漏えいしたりしないように大切に保管してください。法律や条例で決められている社会保障、税、災害対策の手続きで行政機関や勤務先などに提示する以外は、むやみにマイナンバーを他人に教えないようにしてください。他の手続きのパスワードなどにマイナンバーを使うことも避けてください。(2014年7月回答)

と書いてあります。

現在でも税務署や自治体は、個人情報の名寄せを実施しており、給与や報酬の支払者が税務処理を実施していれば、関係機関は、かなりの確率で個人の収入を捕捉している。つまり、副業により一定額の収入を得ているにも関わらず確定申告を怠っているような人は、マイナンバー制度の有無に関係なく、税務署には副業を知られている可能性が高い。

また、「将来便利になる」という部分も、マイナンバーとは別の仕組みの上で運用されることが分かったと思う。

 これらの文章を入れてしまうと「じゃあなんでマイナンバー制度が要るんだよ」と思われてしまうのではないかと心配になってしまいました。文章作成の際どのような検討が行われどのような結論に至ったのか興味深いです。

 随所にテクニックが散りばめられた霞ヶ関文学の一例としてご共有。