日経新聞『アベノミクス、「成長重視」弱まる 分配に軸足』


「日本なんてどうなったっていいんだっ!」なんでしょうか。
アベノミクス、「成長重視」弱まる 分配に軸足 :日本経済新聞

アベノミクス、「成長重視」弱まる 分配に軸足
生産性革命 企業の慎重論打破には力不足

2017/12/8 18:30
日本経済新聞 電子版

 政府は8日の閣議で、新たな経済政策パッケージを決めた。幼児らの教育無償化は消費税収など財源を確保して道筋をつけ、分配重視の姿勢を鮮明にした。一方、次世代技術の実証を促すしくみなど生産性革命は踏み込み不足が目立ち、潜在成長力の底上げには課題を残した。成長重視の姿勢が弱まれば、着実なデフレ脱却に近づけなくなる。

 「税制、予算、規制改革とあらゆる政策を総動員し、生産性革命を我が国がリードする」。安倍晋三首相は首相官邸での政府与党政策懇談会でこう強調した。

 米国やフランスが法人減税に動くなか、日本政府も大胆な法人減税を打ち出した。首相は3%以上の賃上げをした企業の実効税率を25%に、また賃上げに加え、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」など先端技術に投資すれば20%にそれぞれ下げると明言した。稼いだ利益を積極活用する企業の競争力を底上げし、経済の好循環を強める狙いだ。

 規制改革でも電波行政の岩盤に切り込んだ。電波の割り当てに価格競争の要素も盛り込む方針だ。総務省が申請者の事業計画を審査し免許を出していたが、透明性を高める。新規参入を促して通信料を引き下げたり、次世代高速通信「5G」サービスを使った新技術を生み出したりする。

 一方、首をかしげざるを得ない政策もある。政府は中小企業の投資後押しへ「ものづくり・商業・サービス補助金」を拡充する。経済産業省有識者会議で、不正融資問題を起こした政府系の商工組合中央金庫商工中金)の業務の縮小を求める声も出るなか、ちぐはぐな印象が拭えない。

 成長戦略が勢いを欠けば、企業も思い切ってお金を使えない。企業が人件費総額を上回る現預金を抱え込むのは、将来の日本の成長に懐疑的だからだ。内閣府によると、上場企業による今後5年間の実質経済成長率予測は年1%と過去最低だ。企業の悲観論を崩すには、効果的な規制改革など日本をビジネスしやすい国に変える政策がいる。

 人づくり革命で幼児らの教育無償化に一定の道筋を付けた。生産性革命と比べ、「アベノミクスの軸が分配重視へ移っている」(第一生命経済研究所星野卓也氏)との見方も多い。金融緩和、財政出動、成長戦略を「3本の矢」として成長重視の姿勢を打ち出した第2次安倍政権発足当時と様相が異なる。

 円安・株高などアベノミクスの成果は出ている。デフレ脱却の兆しも見え始めた。ただ景気回復は6年目に入り、戦後の回復の平均(3年超)の2倍近い長さになる。規制改革のアクセルを踏み込まないと、経済の実力は高まらない。

(川手伊織、山崎純)